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猫が脱走したらどこを探す?室内飼いの猫は意外と近くにいる理由と、迷子を防ぐ備えを解説

39メートル。これは、完全室内飼いの猫が家の外に出てしまい、無事に見つかったケースで、抜け出した地点から発見場所までの距離の中央値です。迷子になった猫1,210頭について飼い主に尋ねた2018年の研究で報告された数字で、25メートルプールを1往復もしない距離です。

「遠くへ行ってしまったはず」と焦る気持ちとは裏腹に、外に慣れていない猫は、すぐ近くで身を潜めていることが多いと考えられています。

脱走した猫はなぜ遠くへ行かないのか

学術誌Animalsに掲載されたHuangらの研究によると、室内飼いの猫は発見場所までの距離の中央値が39メートルで、75%が137メートル以内で見つかったとされています。一方、自由に外へ出ていた猫は中央値が300メートル、75%が約1,600メートル以内と、行動範囲に大きな差がありました。著者らは、探す範囲の目安として、室内飼いの猫なら半径およそ200メートル、外に出ていた猫なら2キロメートル以上も視野に入れることを提案しています。

見つかったときの猫は、およそ半数が怯えた様子だったと報告されています。慣れない外の世界で怖くなり、物陰でじっとしている猫が少なくないと考えられます。そのため、普段は呼べば来る猫でも、名前を呼ぶだけでは出てこない場合があると言われています。

駐車中の車の下に身を潜めるトラ猫

専門家の見解:どこを、いつ探すべきか

隠れ場所は「足元」と「ご近所」

同じ研究では、発見場所の83%が屋外で、他人の家の中が11%、自宅の中が4%でした。屋外では、庭が20%、自宅の外で待っていたケースが19%、茂みなど植物の下が16%、テラスやデッキの下が10%とされています。他人の家で見つかった例では、ガレージが28%、家具の裏や下が22%でした。

また、アメリカの動物保護団体Best Friends Animal Societyが紹介するペット探偵のKat Albrecht氏の助言では、まず家の中を押し入れや収納の奥、マットレスの下まで徹底的に探し、猫は隠れ場所を変えることがあるので同じ場所も繰り返し確認するよう勧められています。

最初の1週間が大切とされる理由

研究では、迷子になった猫のうち生きて見つかった割合は、7日目までで34%、30日目までで50%、1年で61%でした。実際に歩いて探すことには発見率を高める可能性が示されましたが、統計的には弱い根拠にとどまるとされています。それでも著者らは、いなくなってから最初の1週間のうちに、しっかり足を使って探すことを勧めています。時間が経ってから見つかる例もあるので、すぐに諦める必要はないとも読み取れます。

探す時間帯については、Best Friendsの記事では、あたりが静かになる深夜や早朝に猫が動きやすいとして、時間を変えながら探すことが勧められています。捕獲器の活用を勧める声もありますが、この研究では捕獲器の明確な効果は確認されておらず、効果については見方が分かれる部分です。

飼い主ができること:いなくなった直後の行動

  • 家の中をもう一度探す:押し入れ、家具の裏、ベッドの下などを確認します。
  • 出た地点の周辺を歩いて探す:室内飼いの猫なら、まず半径200メートルほどを、車の下、物置の陰、植え込みの中まで低い目線で見ていきます。他人の敷地は許可を得てから確認しましょう。
  • 近所の人に声をかける:ガレージや物置の中を確認してもらえるよう頼むのも一案とされています。
  • 関係機関に届け出る:山梨県は市町村、保健所、警察へすぐ届け出るよう案内しています。埼玉県も動物指導センター、警察署、市町村役場への連絡を挙げ、いなくなった日時と場所、猫の特徴、マイクロチップの有無を伝え、写真も提出するよう案内しています。窓口は地域で異なるので、お住まいの自治体で確認しましょう。
  • 保護情報を確認する:自治体の収容動物情報や、警察の落とし物情報も定期的に見ておくと安心です。

戻ってきた猫にけがや体調の変化があるようなら、早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。

脱走を防ぐ備え:出口をふさぎ、身元を示す

Huangらの研究では、室内から逃げた猫のうち経路が分かっている例の74%が、開いたドアやガレージからでした。山梨県も、玄関や窓の開け閉めのときやすき間から逃げることがあるとして、柵の設置や窓・網戸の鍵を勧めています。

  • 玄関:宅配の受け取りや来客のときが要注意とされています。玄関前にペットゲートや柵を置き、ドアを開ける前に猫の居場所を確認する習慣をつけましょう。
  • 窓・網戸:網戸ロックや窓ストッパーを使うと、猫が自分で開けるのを防ぎやすいと言われています。破れやすい網戸は補強を検討します。
  • ベランダ:柵の下のすき間は脱走や転落の原因になることがあります。ネットで対策する場合は、災害時の避難経路をふさがないよう注意が必要です。

赤い首輪に丸い迷子札をつけたキジトラ猫

万一に備えた身元の表示も大切です。東京都は、首輪やマイクロチップで身元が分かると、保護されたときに飼い主のもとへ帰りやすくなると説明しています。なお、Huangらの研究ではマイクロチップなどの有無と発見率に明確な関連は見られませんでしたが、著者らは登録情報を正確に保つことの重要性を指摘しています。

  • 首輪と迷子札:オーストラリアのRSPCAは、強い力がかかると外れる安全バックル付きの首輪を推奨しています。指が大きめなら1本、小さめなら2本入る程度に調整し、週に1回はきつさや傷みを確認するとよいとされています。室内飼いの猫にも、脱走に備えて着けることが勧められています。
  • マイクロチップ:日本では販売業者に装着の義務があり、一般の飼い主は努力義務とされています。住所や電話番号が変わったら、30日以内に変更の届け出が必要です。

まとめ

室内飼いの猫が外に出てしまったとき、研究からは、遠くではなく家のすぐ近くで隠れている可能性が高いと考えられています。まず家の中と周囲をていねいに、時間帯を変えて繰り返し探し、同時に自治体や警察へ届け出ることが大切です。そして何より、玄関や網戸の対策と、首輪やマイクロチップの備えを、いなくなる前に整えておきましょう。

参考:

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猫が自分のしっぽや毛布をちゅぱちゅぱ吸うのはなぜ?「吸い癖」の理由と見守り方を専門家の情報で解説

先に結論を言うと、猫が自分のしっぽや毛布をちゅぱちゅぱ吸う「吸い癖」の多くは、子猫のころに母猫のお乳を吸っていたときのなごりで、それだけなら過度に心配しなくてよいことが多いと言われています。ただし、吸ったものを飲み込んでしまう場合や、しっぽの毛が薄くなるほど続く場合は話が別です。

うっとりした顔でしっぽの先をくわえ、前足でふみふみしながら吸い続ける姿はとても愛らしいものですが、「どうしてこんなことをするの?」「やめさせたほうがいいの?」と気になる飼い主さんもいるのではないでしょうか。この記事では、研究論文や海外の獣医療機関の情報をもとに、吸い癖の理由と見守り方を整理します。

そもそも「吸い癖」とはどんな行動?

猫が毛布やセーター、タオル、ぬいぐるみ、飼い主の服や髪、さらには自分や同居猫のしっぽなどを口に含んで吸う行動は、英語で「ウールサッキング(wool sucking)」と呼ばれています。毛糸製品が対象になりやすいことからこの名前がありますが、実際には柔らかい布全般が対象になるとされています。

吸いながら前足で布を押す「ふみふみ(ニーディング)」やのどを鳴らす様子が一緒に見られることも多く、これは子猫が母猫のお乳を飲むときの動きとよく似ています。そのため、吸い癖は授乳期の行動が大人になっても残ったもの、あるいは安心するための自己なだめ行動と考えられています。

獣医学の情報サイトWikiVetでは、子猫の吸い癖は多くの場合、生後6か月ごろまでにおさまると紹介されています。一方で、米国の動物病院グループVCAは、数年でやめる猫もいれば、一生続く猫もいると説明しています。

専門家・研究ではどう考えられている?

離乳の時期との関係

フィンランドのヘルシンキ大学の研究チーム(Ahola氏ら、2017年、Scientific Reports誌)は、40品種・5,726頭の飼い猫について飼い主へのアンケートを分析し、母猫から離された時期と行動の関係を調べました。その結果、離乳時期はウールサッキングの起こりやすさと関連しており、早く母猫から離された猫ほど攻撃的な行動や常同行動(同じ行動を繰り返す)が見られやすい傾向があったと報告されています。

研究チームは、推奨される離乳時期を現在より遅い14週齢ごろまで引き上げることを提案しています。ただし、これはアンケートに基づく調査で、早期離乳が直接の原因だと証明したものではない点も、論文の中で断られています。

猫種や遺伝の影響

VCAによると、布を吸ったりかじったりする行動はどの猫にも起こり得るものの、とくにバーミーズやシャム、オリエンタル系の血を引く猫で多いとされています。こうした品種で目立つことから、遺伝的な要因も関わっているのではないかという見方があります。

「吸う」から「食べる」へ進むことも

カナダのモントリオール大学の研究チーム(Demontigny-Bédard氏ら、2016年、Journal of Feline Medicine and Surgery誌)は、布や毛糸など食べ物でないものを口にする「異食(パイカ)」の猫を調べ、布を吸う行動と布を飲み込む行動との間に関連があったと報告しています。また、異食のある猫は、そうでない猫に比べて吐く頻度が高かったとされています。

窓辺で白いニットの毛布にのってくつろぐ黒猫

様子を見てよいケース・相談したほうがよいケース

専門家の情報を総合すると、ときどき毛布やしっぽを吸ってリラックスしている程度で、飲み込んだり体を傷つけたりしていなければ、無理にやめさせる必要はないと考えられています。一方、次のような場合は注意が必要とされています。

  • 吸っている布に穴があく、糸や布の切れ端が減っているなど、飲み込んでいる様子がある
  • しっぽの先の毛が薄くなる、皮膚が赤くなる・湿っている・傷になっている
  • 吐く回数が増えた、食欲が落ちた、便が出にくい(布や糸による腸閉塞のおそれ)
  • 1日の多くの時間を吸うことに費やし、呼んでも止められないほど没頭している
  • 大人になってから急に始まった、引っ越しなどの環境の変化のあとに増えた

VCAは、過剰な舐め・かじり・吸う行動の背景には消化器の病気などが隠れていることもあるため、まずは体の病気がないかを確認することが大切だとしています。気になる症状があれば早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。とくに、ひもや糸を飲み込んだおそれがあるときは、様子を見ずに受診することがすすめられています。

飼い主ができる工夫

VCAなどが紹介している、家庭でできる対策の例は次のとおりです。

  • 吸ってもよいものを用意する:飲み込みにくい丈夫な素材のおもちゃや、決まった1枚の毛布など「吸ってもよい代わりのもの」を用意します。古くてほつれた布や、毛足の長いふわふわの布は避けたほうがよいとされています。
  • 吸われて困るものはしまう:ニットや靴下、毛糸玉などは、出しっぱなしにしないようにします。
  • 遊びと刺激を増やす:毎日決まった時間に一緒に遊ぶ、知育トイ(フードを転がして取り出すおもちゃ)で食事に時間をかけさせる、おもちゃを数日おきに入れ替えるといった工夫で、退屈を減らすことがすすめられています。
  • 叱らない:吸い癖は不安を和らげるための行動であることも多く、叱ったり無理に引き離したりすると、かえってストレスが増えるおそれがあると言われています。
  • 食事について獣医師に相談する:VCAは、食物繊維の多いフードやデンタルフードが助けになる場合があると紹介しています。フードの変更はかかりつけの獣医師と相談しながら行いましょう。
  • 専門家に頼る:生活に支障が出るほど強い場合は、獣医行動診療の専門家に相談する方法もあります。VCAによると、強迫的な傾向がある場合は薬による治療が検討されることもあるとされています。

床に寝転んで羽根のおもちゃで遊ぶ猫

まとめ

猫がしっぽや毛布を吸うのは、子猫時代の授乳行動のなごりや、安心するための行動と考えられています。早い時期に母猫から離されたことや、猫種による遺伝的な傾向が関係しているという研究・見解もあります。ときどき吸ってくつろいでいるだけなら、温かく見守ってあげてよいことが多いでしょう。

ただし、布や糸を飲み込む、しっぽの皮膚を傷めている、吐く回数が増えたといったサインがあれば、早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。「吸ってもよいもの」を用意し、遊びの時間を増やしながら、猫が安心して過ごせる環境を整えてあげることが大切です。

参考:

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猫が病院を嫌がるのはなぜ?キャリー慣らしから帰宅後のケアまで、通院ストレスを減らすコツ

ワクチンの日の朝、押し入れからキャリーを出した瞬間、さっきまで足元にいた猫がベッドの下へ消えていく――。やっとの思いで車に乗せても、移動中はずっと低い声で鳴き続け、到着するころには飼い主のほうがぐったり。猫と暮らしていると、そんな通院の場面に心当たりがある方も多いかもしれません。

猫の通院ストレスは「性格だから仕方ない」とあきらめられがちですが、獣医師や猫の専門家の間では、準備と工夫でかなり減らせると考えられています。この記事では、猫が病院を苦手とする理由と、家でできるキャリー慣らし、移動中・診察時・帰宅後のポイントを、専門機関の情報をもとにまとめます。

猫が通院を嫌がるのはなぜ?

全米猫獣医師協会(AAFP)が運営する飼い主向けサイト「Cat Friendly Homes」によると、多くの猫が通院を怖がるのは、動物病院だけでなくキャリーも車も「なじみのないもの」だからだとされています。猫は慣れたものの中でこそ安心できる動物で、新しい状況に慣れるには時間が必要だと考えられています。

米国の動物病院グループVCAも、猫は自分のなわばりへの愛着が強く、決まった日課の中で暮らすことを好むと説明しています。通院はその日課から急に引き離され、車での移動、見知らぬ景色やにおい、知らない人に触られる体験が重なるため、恐怖やストレスにつながりやすいと言われています。

さらに、キャリーが「病院に行くときだけ出てくる箱」になっていると、猫はキャリーそのものを嫌なことの合図として覚えてしまいます。キャリーを見ただけで隠れてしまうのは、ある意味で学習の結果と言えそうです。

専門家がすすめる「キャリーを家の一部にする」慣らし方

部屋に置いたキャリーバッグのそばでくつろぐキジトラ猫

Cat Friendly Homesでは、キャリーを地下室や物置にしまい込み、出発直前にだけ出すのではなく、猫がよく過ごす部屋に普段から置いておくことがすすめられています。日本でも、獣医師への取材記事で同じように「通院のときだけキャリーを出さない」ことが大切だと紹介されています。

  • やわらかい寝具を入れる:使い慣れた毛布や、飼い主のにおいがついた服を入れると安心しやすいとされています。
  • おやつ・またたび・おもちゃを中に置く:最初は夜のうちにこっそりおやつだけ食べていく、という段階から始まることも多いそうです。
  • 無理に誘わない:慣れる途中で「入って入って」と促すと、かえって警戒されることがあると言われています。
  • 時間をかける:キャリーを信頼するまで数日〜数週間かかることもあるため、落ち着いて、入れたときにほめたりご褒美をあげたりするのがよいとされています。
  • 短い「試運転」をする:キャリーに慣れたら、好きなおやつと一緒に短時間だけ車に乗せ、家に帰ってくる練習をすると、車移動にも慣れやすいと考えられています。

また、以前の移動で猫が出したストレスのにおいがキャリーに残っている場合もあるため、においの少ない洗剤でよく洗ってすすぎ、天日でしっかり乾かす、あるいは新しいキャリーにするという方法も紹介されています。

キャリーは「上も開く」ハードタイプが便利

Cat Friendly HomesやVCA、国内の獣医師の解説では、丈夫で、前だけでなく上からも開けられる(または上半分を外せる)キャリーがすすめられています。怖がる猫を無理に引っぱり出さず、下半分に入れたまま診察できるためです。段ボール製は一時的な使用にとどめたほうがよいとされています。

当日の連れ出し方と移動中の工夫

まだキャリーに慣れていない猫を連れて行く日は、「追いかけっこ」を避けることが大切だと言われています。出発5分前に慌てて追いかけると、猫の恐怖が強まり、飼い主がかまれたり引っかかれたりする原因にもなります。

  • 隠れ場所の少ない小さな部屋にキャリーを置き、猫と一緒に入ってドアを閉め、ゆっくり落ち着いて動く。
  • 歩いて入らない場合は、上の扉からそっと下ろす、または上半分を外して下半分に入れてから静かにふたを戻す。手足が引っかかるようならタオルで包む。
  • キャリーに慣れている猫なら、数時間ごはんを控えてからお気に入りのおやつを中に投げ入れると、自分から入ることが多いとされています(持病がある場合は絶食の可否を獣医師に確認しましょう)。
  • キャリーはタオルや毛布で覆い、流れていく景色が見えないようにする。持ち手だけでぶら下げると揺れて不安定になるため、底を支え、両腕で抱えて運ぶ。
  • 車では猫をキャリーから出さない。Cat Friendly Homesでは、衝突試験済みのキャリーでなければ、運転席や助手席の後ろの床に置くのがよいとしています。急ブレーキや急ハンドルを避け、エアコンの風が直接当たらないようにすることもすすめられています。
  • 猫用の合成フェロモン製品をタオルに吹きかけておく方法もあります。VCAでは出発の15〜30分前に軽くスプレーする使い方が紹介されています。

病院で、そして薬という選択肢

診察台の上で手袋をした獣医師に顔を支えられる白い長毛猫

病院では、上が開くキャリーなら上半分を外してもらい、猫が下半分に入ったまま診察を受けられないか相談してみるのもひとつの方法です。予約制の病院を選ぶと待合室で長く待たずに済み、ほかの動物と一緒になる時間を減らせると言われています。

練習を重ねても強く怖がってしまう猫については、通院前に飲ませる薬について獣医師に相談するよう、Cat Friendly HomesやVCAはすすめています。たとえば、通院時に強いストレスを示す猫20頭を対象にした2017年の研究(米国獣医師会雑誌)では、移動の約90分前にガバペンチンという薬を飲ませると、偽薬のときよりも移動中・診察中のストレスの評価が低くなったと報告されています。一方で、ふらつきや嘔吐などの副作用が見られた猫もいたこと、対象数が少ないことも指摘されています。持病やほかの薬との兼ね合いもあるため、自己判断で人の薬や市販のサプリを与えず、必ずかかりつけの獣医師に相談しましょう。

帰宅後は「におい」に注意。多頭飼いの場合

病院から帰ってきた猫に、同居猫がシャーッと威嚇する――これも多頭飼いではよく聞く光景です。Cat Friendly Homesによると、猫はにおいにとても敏感で、病院のにおいをまとって帰ってきた仲間を「知らない猫」と感じてしまうことがあるとされています。

  • 帰宅後はすぐに出さず、数分キャリーに入れたまま、ほかの猫の反応を見る。
  • 威嚇があれば、帰ってきた猫を別室で休ませる(ごはん・水・トイレ・寝床を用意)。手術や麻酔のあとは特に、落ち着ける環境を優先する。
  • それぞれの猫のにおいがついた寝具を交換し、「いつものにおい」を取り戻す手助けをする。
  • 数時間後(手術後は獣医師の指示に従ってもっと長く)、様子を見ながら少しずつ対面させる。怒ったり逃げたりするようなら、もう少し時間を置く。

まとめ

猫が通院を嫌がるのは、キャリー・車・病院という「なじみのないもの」が一度に押し寄せるからだと考えられています。キャリーを普段から部屋に置いて安心できる場所にしておくこと、上が開く丈夫なキャリーを選ぶこと、移動中は覆って静かに運ぶこと、帰宅後はにおいに気を配ることが、専門家のすすめる主なポイントです。

キャリー慣らしは、通院だけでなく災害時の避難にも役立ちます。体調が悪くなってから慌てないよう、元気なうちから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。気になる症状があれば、早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。

参考:

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子猫を見つけたらすぐ拾うべき?母猫の見極めから保温・ミルク・届出まで専門機関の情報で解説

「道ばたで子猫が1匹だけで鳴いていたら、捨てられたに違いない」――そう思って、思わず抱き上げたくなる気持ちはよく分かります。ところが自治体の動物愛護センターや海外の動物保護団体によると、ひとりぼっちに見える子猫の多くは、実は近くに母猫がいて、ごはんを探しに出ているだけのことが多いとされています。

散歩や通勤の途中で、小さな子猫に出会うことは意外とあるものです。この記事では、子猫を見つけたときに「すぐ拾う前」に確かめたいこと、保護すると決めたときに最初の数時間でやるべきこと、そして手続きの面で知っておきたいことを、専門機関の情報をもとにまとめます。

まずは「本当に母猫がいないのか」を確かめる

熊本市動物愛護センターは、子猫を見つけてもすぐに触ったり連れ帰ったりせず、静かに見守ることが基本だと案内しています。姿が見えなくても母猫が近くで世話をしていることがほとんどで、人が触ってにおいが付くと育児放棄につながりかねない、とも注意しています。

アメリカの動物保護団体も同じ考え方で、サンディエゴ・ヒューメイン・ソサエティのガイドでは、子猫が病気やけがをしておらず、巣が分かる場合はそっと巣に戻して母猫に任せるよう勧めています。そのうえで、母猫が6時間以上戻らない場合に、自分で保護するか、保護施設に相談するかを考える流れになっています。

どれくらい待つかの目安は情報源によって幅があり、上のように6時間程度を一つの区切りとするものもあれば、熊本市のように「何日たっても母猫が戻らず、子猫が衰弱している場合」に相談を、と長めに見守ることを勧めるものもあります。共通しているのは、近くで見張るのではなく、離れたところから様子を見ることです。人がそばにいると、母猫は警戒して子猫に近づけないと言われています。

一方で、次のような場合は待たずに保護や相談を考えたほうがよいとされています。

  • 目やにがひどい、ぐったりしている、けがをしているなど、明らかに具合が悪そう
  • 車道の近く、雨ざらし、カラスや犬に狙われそうな場所など、その場にいること自体が危険
  • 体が冷たく、鳴く力も弱い

危険な場所にいるだけなら、近くの安全な物陰へ移して、また離れて見守るという方法も紹介されています。

石畳の上で子猫に授乳する母猫

保護すると決めたら、最初にやること

1. ミルクより先に「温める」

生まれて間もない子猫は自分で体温を保つ力が弱いと言われています。サンディエゴ・ヒューメイン・ソサエティは、体が冷えている子猫は湯たんぽ代わりのヒーターや温かいタオルでゆっくり温めるよう案内しています。

大切なのは、温める前にミルクを飲ませないことです。アメリカの動物病院グループVCAは、体が冷えた子猫はうまくミルクを飲めないため、先に体を温めることで授乳がうまくいきやすくなると解説しています。カイロやヒーターを使うときは、直接肌に当てずタオルで包み、ケースの半分だけを温めて子猫が自分で暑すぎない場所へ移動できるようにする工夫が勧められています。

2. 牛乳ではなく「子猫用ミルク」を

「子猫には牛乳」というイメージは根強いものの、専門機関はそろって牛乳をすすめていません。VCAによると、母猫の母乳は牛乳の2倍以上のたんぱく質を含み、牛乳は脂肪やタウリンなどが少なく乳糖が多いとされています。牛乳は下痢の原因にもなり、小さな子猫にとって下痢は命に関わることもあると言われています。ペットショップや動物病院で手に入る子猫用の粉ミルクと、子猫用の哺乳瓶を用意しましょう。

  • ミルクは人肌程度(約38℃)に温め、熱すぎないか確かめてから与える
  • 人の赤ちゃんのように仰向けにせず、うつ伏せの姿勢で飲ませる(誤嚥を防ぐため)
  • 授乳の間隔は、生後2週までは3〜4時間おき程度が目安とされる(月齢や体重で変わるので獣医師に確認を)
  • 作り置きは24時間以内、室温に出したミルクは1時間で捨てるのが目安とされる

3. 排泄のお手伝い

生後3週ごろまでの子猫は、自分でおしっこやうんちを出せないとされています。母猫は子猫のお尻をなめて排泄を促しますが、その代わりに、授乳のあとにぬるま湯で湿らせたコットンややわらかい布でお尻をやさしくトントンと刺激してあげる必要があります。やり方は動物病院で教えてもらえます。

やわらかい毛布にくるまれた茶トラの子猫

動物病院と、届出のこと

できるだけ早く動物病院へ

保護した子猫は、元気そうに見えてもできるだけ早く動物病院で診てもらうことが勧められています。おおよその月齢や体重の確認、ノミ・おなかの虫などの寄生虫のチェック、今後のミルクの量やワクチンの時期の相談ができます。

すでに猫を飼っている場合は、とくに注意が必要です。コーネル大学猫健康センターは、猫白血病ウイルス(FeLV)について、新しく家に迎える猫はすべて事前に検査するよう勧めています。検査結果が出るまでは、先住猫とは部屋を分け、食器やトイレも別にしておくと安心です。

飼い主がいる可能性もある

ある程度大きな子猫や人慣れした猫の場合、迷子の飼い猫である可能性もあります。神奈川県は、飼い主のわからない犬や猫を保護した場合、犬・猫は遺失物法上の「遺失物」にあたるため、最寄りの警察署に届け出るとともに、飼い主から問い合わせが来ていないか動物愛護センターにも連絡するよう案内しています。窓口や手順は都道府県・市区町村によって異なるので、お住まいの自治体の公式サイトで確認しましょう。

自分で飼えないときは

子猫の世話は、授乳だけでも昼夜を問わず数時間おきになり、想像以上に大変です。すぐに飼えない場合は、無理に抱え込まずに、自治体の動物愛護センターや地域の保護団体、動物病院に相談するのも一つの方法です。自治体によっては、離乳前の子猫を一時的に預かる「ミルクボランティア」を募集しているところもあります。

まとめ

  • ひとりぼっちの子猫も、近くに母猫がいることが多いとされる。まずは離れたところから見守る
  • 具合が悪そう、危険な場所にいる、長時間母猫が戻らない場合は保護や相談を考える
  • 保護したら、ミルクより先に「ゆっくり温める」
  • 牛乳ではなく子猫用ミルクを、うつ伏せの姿勢で。排泄のお手伝いも忘れずに
  • 早めに動物病院へ。先住猫がいる場合は検査が済むまで部屋を分ける
  • 飼い猫の可能性がある場合は、警察や動物愛護センターへの連絡も(窓口は自治体ごとに確認)

小さな命を前にすると、つい急いで手を差し伸べたくなりますが、「待つ」ことが子猫にとっていちばんの助けになる場合もあると言われています。迷ったときや、子猫の様子が気になるときは、早めにかかりつけの動物病院や自治体の動物愛護センターに相談しましょう。

参考:

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猫がストーブの前から離れない季節に。Xで話題の「ストーブとの再会」から考える冬の暖房と猫の安全

寒くなってきたこの時期、Xで「約半年ぶりにストーブと再会した猫が、うれしさを隠しきれない様子」を収めた投稿が話題になりました。ストーブの前にぴったりと陣取る姿に、「うちの子も同じ」「冬の風物詩」と共感の声が多く集まったようです。

暖かい場所が大好きな猫にとって、暖房器具はまさに冬の特等席。ただ、その一方で、やけどや火災、冬ならではの体調トラブルにつながることもあると言われています。今回は、公的機関や獣医師会などの情報をもとに、暖房シーズンに飼い主が気をつけたいポイントをまとめました。

そもそも、猫はなぜ暖かい場所が好きなのか

猫はもともと乾燥した暖かい地域に暮らしていた動物の子孫だとされ、人よりも少し暖かい環境を好むと言われています。日だまりや家電の上、人の膝の上など、家の中の「いちばん暖かい場所」をよく知っているのもそのためと考えられています。

海外の猫の団体の記事でも、猫は多くの家庭の室温より少し暖かいくらいを好むとされ、日当たりのよい場所に寝床を置くなどの工夫が紹介されています。シニア猫では関節の不調を抱えている子も多いとされ、暖かい寝床が助けになる場合もあるようです。

専門機関が呼びかけている注意点

ペットが関わる製品事故は「火災」になりやすい

製品評価技術基盤機構(NITE)は2024年3月、ペットが関わる製品事故について注意を呼びかけています。NITEによると、2013〜2022年度の10年間に通知されたペット関連の事故は61件で、そのうち約9割の54件が火災に至ったとされています。ペットの種類別では猫が最も多く、高い場所にある家電に飛び乗ることも事故の背景にあると見られています。

事故の多くは、留守番中のペットがこんろなどの操作ボタンを押してしまったとみられるケースで、ほかにも電源コードをかじる、電気製品の近くでの排尿による漏電・ショートといった事例が挙げられています。NITEは、暖房器具やこんろの周りに燃えやすい物やペットが興味を持つ物を置かないこと、使わない電気製品はプラグを抜くことなどを勧めています。

暖炉から少し離れたペットベッドで眠る猫

「心地よい温度」でも低温やけどになることがある

消費者庁は、さほど高温ではなく心地よく感じる温度であっても、長時間同じ場所が触れ続けることで低温やけどになることがあると注意を呼びかけています。湯たんぽや電気カーペットなどは、長時間の使用を避けるようにとされています。

これは人向けの注意喚起ですが、猫にも当てはまると考えられています。猫は気に入った場所で何時間も眠ることがあるうえ、被毛に覆われているため、皮膚の赤みや傷に飼い主が気づきにくいとも言われています。海外の猫の団体の記事では、人間用の電気あんかは動物には熱すぎてやけどの原因になりうるとして、ペット用の製品を使うよう勧めています。

冬は水を飲む量が減り、おしっこのトラブルが増えやすい

暖房の効いた部屋でぬくぬく過ごす冬は、猫の飲水量が減りがちだと言われています。ペット保険会社アニコム損保の情報をもとにした記事では、猫はもともと水をあまり飲まない動物とされ、気温が下がる冬は飲水量がさらに減って尿が濃くなり、膀胱炎や尿石症が起きやすくなると説明されています。特にオス猫は泌尿器のトラブルが起きやすい傾向があるとされています。乾燥した部屋で長く過ごすことも、水分不足につながると考えられています。

飼い主ができること・注意点

  • ストーブやヒーターは柵やガードで囲う:猫が直接触れたり、しっぽやヒゲを近づけすぎたりしないよう、物理的に距離を取るのが基本とされています。
  • 留守中・就寝中は暖房器具を消し、プラグを抜く:猫がスイッチを押してしまう事故を防ぐため、チャイルドロック機能があれば活用しましょう。
  • 周りに燃えやすい物を置かない:猫が落とした毛布やおもちゃがストーブに触れることもあるため、周囲は広めに空けておくと安心です。
  • 電源コードはカバーをつけるか、届かない場所に:かじり癖のある子は特に注意が必要とされています。
  • 暖かい場所と涼しい場所の両方を用意する:猫が暑くなったら自分で移動できるよう、逃げ場をつくることが大切だと言われています。ホットカーペットやペット用ヒーターも、一部だけ温めて全面を覆わないようにしましょう。
  • ときどき体をなでて皮膚をチェック:同じ場所で長く寝ている子は、毛をかき分けて赤み・脱毛・かさぶたがないか見てあげましょう。
  • 水飲み場を増やし、新鮮な水を用意する:複数の場所に水を置く、ぬるめの水にする、ウェットフードを取り入れるなどの工夫が勧められています。
  • 石油・ガス暖房はこまめに換気:燃焼式の暖房器具は室内の空気を汚すため、人と同じく定期的な換気が大切です。

毛布にくるまってくつろぐ三毛猫

「おしっこの回数が増えた・減った」「トイレで鳴く」「皮膚に赤みや脱毛がある」など、気になる症状があれば早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。やけどは見た目より深いこともあると言われているため、自己判断で様子を見すぎないことが大切です。

まとめ

ストーブの前で幸せそうにくつろぐ猫の姿は、冬ならではの癒やしの光景です。その時間を安心して楽しむために、「柵で囲う」「留守中は消してプラグを抜く」「逃げ場をつくる」「水分をしっかり」の4つを意識しておくとよいとされています。今年の冬も、猫と一緒に暖かく安全に過ごしましょう。

参考: