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さくら猫を保護へ 野良猫を保護するまでの記録①

さくら猫たちとの出会い

新型コロナウィルスの影響で外出も減った今年の夏、それに反して増える体重・・・ダイエットしなきゃ!で始めたウォーキングでした。自宅の近くに大きな公園があったけど、一度も歩いたことがない場所に晩ご飯後に夫と二人で歩く習慣ができました。その時、公園の中に生活する野良猫たちに道すがら会います。

みんな耳がV字にカットされた「さくら猫」と呼ばれる野良猫たち。実家でも代々飼ってきた猫は、元野良猫。さくら猫の名前と大まかな活動については知っていました。

TNR活動とさくら猫とは? 本当に保護活動なの?

TNR活動という言葉を聞いたことがありますか?

野良猫たちを保護する運動の一つで、保健所での殺処分ゼロを目指して活動されています。

Trap 猫を捕まえて

Neuter 不妊手術をし

Return 猫を元の場所に戻す

これがTNR活動です。そしてTNR活動で元の場所に戻された猫たちは不妊手術済みの証として、耳にV字カットをされます。その形が桜の花びらの形に似ていることから、そうした猫たちは「さくら猫」と呼ばれているのです。

私は、現実を知るまでこのTNR活動に関して否定的な感情を抱いていました。だって捕獲機で捕まえて怖い思いをさせ、痛い手術をした上に家に入れてあげずにまた過酷な外の野良猫へ戻すなんて!と。

そんな私がウォーキングで出会ったさくら猫たち。彼らがきっかけでTNR活動について考えることになります。

TNRを考えるきっかけをくれた怪我をしたさくら猫・みーちゃん

ウォーキングの途中、緑道の脇から急に出てきたみーちゃんに会いました。みーちゃんは右耳カットされていたので、おそらく女の子。エサをねだってニャーニャー鳴きますが、近づかず一定の距離を置きます。

近くでエサを定期的にもらっているのか、ふっくらとして野良猫には見えませんが、首輪をしておらずやっぱり野良猫のようです。よーくみると耳の付け根が赤くなって、血が出て、湿疹のようなぶつぶつがたくさん。そのせいで耳の毛はほとんどなくなり、元気な様子ですが痛々しい姿。アトピー性皮膚炎の経験がある私は、一目見るだけでどれほど痒い状態か想像がつきます。

「この子を何とかして治してあげられないだろうか?」

まずそもそも、さくら猫といっても、地域でお世話をみている場合、地域猫として管理している保護団体があることがあります。エサやりや、健康管理はそうした保護団体や、地域の人たちが行っている場所もあるのです。

みーちゃんを見つけた地域は、どういう状況なのだろう?それを知らなければ、勝手に薬もあげられない。そもそも野良猫にやる薬を処方してくれる獣医さんもわからない。

そこで自分が住む地域の保護猫団体を検索し、さっそくみーちゃんの状況をメールで問い合わせてみました。

担当者の方は、とても丁寧に色々な情報を教えてくれました。自分たちの団体では、現在シェルターを持っていないので会員個人個人の裁量でそうした、みーちゃんのような猫を病院に連れて行っている人がいること、近くの野良猫を診てくれる病院、その中でも実際に猫を連れて行かなくても患部の写真や動画で薬を処方してくれる病院などを教えてくれました。

その方に写真を見せると、おそらく蚊に刺されたことでのアレルギー反応ではないだろうか?とのこと。さくら猫として、野良猫生活をしている中にも外の生活が厳しく、見るに見かねて会員さんが家に入れて里親探しをすることがある。ただシェルターを持たないその団体としては、現状野良猫を預かって里親を見つけてあげて欲しい、という問い合わせにはお断りをしなければいけない状況である、というのがその団体の実情でした。

エサやりについては、その団体が運営されている地域に関してはさくら猫にはルールを守り(置き餌をしない、餌をあげた後の片づけを必ずする)会員でない人もされている現状とのこと。それを知り、まずは教えてもらった動物病院で薬をもらい、みーちゃんに4週間、エサに混ぜてあげてみることにしました。

その時は、正直薬をあげた後のことは考えていませんでした。というより、薬やエサをあげたら絶対に情が移るだろうし、考えることを拒否していました。自分が引き取ることができない住環境なので、薬をあげることすら本当はとても無責任なことなのではないだろうか…とすぐに行動することができませんでした。

怪我は治ったけれど…

毎晩、同じ場所で会うことができたみーちゃん。今考えると、その状況だったからこそ4週間も薬をあげられたのだと思います。

野良猫の縄張りは半径500mと言われています。みーちゃんにあげていた薬は抗生物質とステロイドだったので、連続して投与が必要となり、野良猫では無理かなぁと心配していましたが、1日だけ姿を現さない日があっただけで、ほぼ4週間、毎晩時間を変えても同じ場所で私を待っていてくれる。そんなみーちゃんだったから、続けて薬をあげることができました。

さて、野良猫へ薬をあげたいと考えておられる方、通常野良猫は新しい物への警戒心があります。エサに薬を混ぜても、匂いで感づいて食べなくなることも。みーちゃんの場合、エサを定期的にもらっている子だったので、ちゅーるに薬を混ぜたら問題なく食べてくれましたが、そう簡単にいかない場合もあることがありますので、色々な試行錯誤が必要となるでしょう。

4週間の投薬の結果、やはり足で掻いてしまう場所ということもあり、完治はしませんでしたが、最初のころとは比べ物にならないくらい改善し、耳の毛はほぼ生えそろってきました。今でも毎晩、エサをやりながら傷口を確認し、悪化した場合に備えて、薬も追加でもらって常備しています。

薬をあげ始めると毎晩、私の足音がするとどこからともなく走って出てくるようになったみーちゃん。最初は2m離れてエサに混ぜた薬を置き、背中を向けないと食べてくれなかったのに、日に日に距離は近づき、今ではエサを食べている間は少しくらいなら触ることもできるように。

そんなみーちゃんに、何とかして里親さんを見つけられないだろうかと考えるようになりました。

ただ、距離は近づいてきているとはいえ、自分からのスキンシップは私の背中側のみ。前からスキンシップをするとつかまれる恐れがあるから、警戒している様子。もちろん抱っこなんて絶対に無理。毎晩、ご飯が欲しい時は寄ってくるけど、満足したらスーンっと走って帰っていく始末。これではお家に入れてあげることもできないです。

後で知ったことですが、その周辺に住む人の数人が同じ場所でエサをあげているそうです。

それを知ると「エサをあげてる人は誰も耳の怪我のことを気にならなかったのだろうか…」という気持ちが湧いてきました。地域猫って何?さくら猫の責任って、誰がとるの?という率直な疑問が湧いてきました。

薬をあげ終えた頃、そんな疑問が頭を占め、他の猫たちが集まる場所を覗いてみると砂場が猫のトイレになっているのを見つけました。そこでエサをあげる人がいる、でも飼い主ではないし、そもそも野良猫はペットではないけれど、野生動物でもないからご飯やトイレの掃除は誰の責任?猫が嫌いな人の周りでトイレをされる問題とか、猫が好きな人ばかりでない環境で地域猫活動ってどうやるの?

考え始めるときりがない。そこで、もう一度、薬のことを教えてくれた保護団体の方からの勧めで、まずは保護団体に入ってみて、TNR活動に関することを知る機会を作ることにしました。

・・・続く