寒くなってきたこの時期、Xで「約半年ぶりにストーブと再会した猫が、うれしさを隠しきれない様子」を収めた投稿が話題になりました。ストーブの前にぴったりと陣取る姿に、「うちの子も同じ」「冬の風物詩」と共感の声が多く集まったようです。
暖かい場所が大好きな猫にとって、暖房器具はまさに冬の特等席。ただ、その一方で、やけどや火災、冬ならではの体調トラブルにつながることもあると言われています。今回は、公的機関や獣医師会などの情報をもとに、暖房シーズンに飼い主が気をつけたいポイントをまとめました。
そもそも、猫はなぜ暖かい場所が好きなのか
猫はもともと乾燥した暖かい地域に暮らしていた動物の子孫だとされ、人よりも少し暖かい環境を好むと言われています。日だまりや家電の上、人の膝の上など、家の中の「いちばん暖かい場所」をよく知っているのもそのためと考えられています。
海外の猫の団体の記事でも、猫は多くの家庭の室温より少し暖かいくらいを好むとされ、日当たりのよい場所に寝床を置くなどの工夫が紹介されています。シニア猫では関節の不調を抱えている子も多いとされ、暖かい寝床が助けになる場合もあるようです。
専門機関が呼びかけている注意点
ペットが関わる製品事故は「火災」になりやすい
製品評価技術基盤機構(NITE)は2024年3月、ペットが関わる製品事故について注意を呼びかけています。NITEによると、2013〜2022年度の10年間に通知されたペット関連の事故は61件で、そのうち約9割の54件が火災に至ったとされています。ペットの種類別では猫が最も多く、高い場所にある家電に飛び乗ることも事故の背景にあると見られています。
事故の多くは、留守番中のペットがこんろなどの操作ボタンを押してしまったとみられるケースで、ほかにも電源コードをかじる、電気製品の近くでの排尿による漏電・ショートといった事例が挙げられています。NITEは、暖房器具やこんろの周りに燃えやすい物やペットが興味を持つ物を置かないこと、使わない電気製品はプラグを抜くことなどを勧めています。

「心地よい温度」でも低温やけどになることがある
消費者庁は、さほど高温ではなく心地よく感じる温度であっても、長時間同じ場所が触れ続けることで低温やけどになることがあると注意を呼びかけています。湯たんぽや電気カーペットなどは、長時間の使用を避けるようにとされています。
これは人向けの注意喚起ですが、猫にも当てはまると考えられています。猫は気に入った場所で何時間も眠ることがあるうえ、被毛に覆われているため、皮膚の赤みや傷に飼い主が気づきにくいとも言われています。海外の猫の団体の記事では、人間用の電気あんかは動物には熱すぎてやけどの原因になりうるとして、ペット用の製品を使うよう勧めています。
冬は水を飲む量が減り、おしっこのトラブルが増えやすい
暖房の効いた部屋でぬくぬく過ごす冬は、猫の飲水量が減りがちだと言われています。ペット保険会社アニコム損保の情報をもとにした記事では、猫はもともと水をあまり飲まない動物とされ、気温が下がる冬は飲水量がさらに減って尿が濃くなり、膀胱炎や尿石症が起きやすくなると説明されています。特にオス猫は泌尿器のトラブルが起きやすい傾向があるとされています。乾燥した部屋で長く過ごすことも、水分不足につながると考えられています。
飼い主ができること・注意点
- ストーブやヒーターは柵やガードで囲う:猫が直接触れたり、しっぽやヒゲを近づけすぎたりしないよう、物理的に距離を取るのが基本とされています。
- 留守中・就寝中は暖房器具を消し、プラグを抜く:猫がスイッチを押してしまう事故を防ぐため、チャイルドロック機能があれば活用しましょう。
- 周りに燃えやすい物を置かない:猫が落とした毛布やおもちゃがストーブに触れることもあるため、周囲は広めに空けておくと安心です。
- 電源コードはカバーをつけるか、届かない場所に:かじり癖のある子は特に注意が必要とされています。
- 暖かい場所と涼しい場所の両方を用意する:猫が暑くなったら自分で移動できるよう、逃げ場をつくることが大切だと言われています。ホットカーペットやペット用ヒーターも、一部だけ温めて全面を覆わないようにしましょう。
- ときどき体をなでて皮膚をチェック:同じ場所で長く寝ている子は、毛をかき分けて赤み・脱毛・かさぶたがないか見てあげましょう。
- 水飲み場を増やし、新鮮な水を用意する:複数の場所に水を置く、ぬるめの水にする、ウェットフードを取り入れるなどの工夫が勧められています。
- 石油・ガス暖房はこまめに換気:燃焼式の暖房器具は室内の空気を汚すため、人と同じく定期的な換気が大切です。

「おしっこの回数が増えた・減った」「トイレで鳴く」「皮膚に赤みや脱毛がある」など、気になる症状があれば早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。やけどは見た目より深いこともあると言われているため、自己判断で様子を見すぎないことが大切です。
まとめ
ストーブの前で幸せそうにくつろぐ猫の姿は、冬ならではの癒やしの光景です。その時間を安心して楽しむために、「柵で囲う」「留守中は消してプラグを抜く」「逃げ場をつくる」「水分をしっかり」の4つを意識しておくとよいとされています。今年の冬も、猫と一緒に暖かく安全に過ごしましょう。
参考:
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「ペットによる製品事故」注意喚起(2024年3月28日)https://kyodonewsprwire.jp/release/202403228396
- 消費者庁「暖房器具やスチーム式加湿器でのやけどに注意!」https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20211118/
- オリコンニュース「冬にかかりやすい猫の病気と予防法」(アニコム損害保険の情報より)https://www.oricon.co.jp/news/2104731/full/
- The Cat Fanciers’ Association「Keeping Cats Warm in Winter」https://cfa.org/cat-talk/keeping-cats-warm-in-winter/
